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マレーシア旅行記①

 帰国したらPCの動作がより重くなっていてつらい。部屋の暑さに耐えかねてオーバーヒートしたのか。あと大事なキーボードにカバーを被せ忘れていったのもショック。少し埃が溜まっていた。

 マレーシア旅行についていくつか覚書しておこうと思う。こういうの書かないと絶対に忘れるので。というかはやくも忘れているし。

 滞在は合計1週間。クアラルンプールに4泊で、マラッカに2泊。しかもあいだにマラッカを挟むかたちの旅行だった。はじめと最後がクアラルンプール。

 豪華旅だったので使ったホテルもよかった。グランドハイアットKLとリッツカールトンKLに、マラッカはHotel Puri Melakaというところ。とくにリッツはよかった。8年くらい前にクアラルンプールをおとずれたときはリッツは改修中だったんだけど、今回はみごとにオープンしていた。

猿とホタルについて

 今回の旅行、じつは主目的はホタルを見ることだった。

 というのもぼくが昔アメリカに住んでいたとき、裏山でものすごくきれいなホタルの大群を目にしたことがあり、今でもその光景を忘れていないからだ。

 ホタルにかんしては日本のゲンジボタルだろうがヘイケボタルだろうが、種類はどうでもいいから蛍狩りに行きたいという欲求がかねてよりあって、今回のマレーシア訪問で消化したわけだ。

 そういうわけでホタルを見るツアーに参加した。クアラルンプールから北西に向けてバスで1時間半くらい走り、クアランスゴールという自然区域の川でフェリーに乗りながらホタルを見るというツアーだ。が、ツアーがまわるのはホタルだけではなかった。その前に猿山に行って猿を見るのだ。

 シルバーモンキーと呼ばれる、その名のとおり銀色の猿がマレーシアにはいるらしい。というわけで会いに行った(というか連れていかれた)。

 こいつらである。「いや銀色じゃないじゃん」と言われるかもしれないが、光の当たり方によってはちゃんと銀色に見える。でもまあ基本は黒だ。ぼくも「普通に黒じゃん」と言ってしまった。ツアーの人には無視された。

 この写真はお山の上なのだが、バスが停車する小山の下では根菜の束のようなものが2リンギ(70円)くらいで売っていた。猿の餌ということらしい。ぼくも買った。ツアーの人やお店の人には「束のほうをみせてはいけないよ」「猿に狙われるからね」「ポケットの底にしまっておくんだ」と注意されたのだが、アホなので普通に束のほうを左手に持っていたら、警告どおり猿に奪われた。筋肉のかたまりのような猿に掌をこじあけられて、一瞬で奪われた。そいつはぼくの頭上の木までのぼって、ぼくを見下ろしてぼりぼりと食べていた。

 猿はにくたらしい。

 実際にこのシルバーモンキーたちはへたな人間よりも人間に慣れていて、かなりにくたらしい。それもそのはずで、30分おきに人間たちを載せたトラムが小山のうえにやってきて、そいつらがみんな笑顔で餌をくれるわけだから、人間をおそれるはずがない。トラムが発進しようというときも、連中が自分たちを轢けないことがわかっているせいか、トラムの前で横たわって挑発するくらいだ。ちなみにトラムというのは工事用車両のようなかたちをした、電車のように長い奇妙なトラックのような乗り物のことだ。

 あらためてみてもぜんぜんかわいくないな~と思う。

 ちなみにほかの種類の猿もいた。こういう茶色いほうも。こっちはよりマントヒヒのような顔つきだった。そしてこちらのほうがかわいかった。茶色いほうは臆病で、餌をもらうときもビクビクしている。もらうと距離を置いてゆっくり食べ始めるし、人間が触れようとすると機敏に逃げる。なまいきな黒いほうよりも愛嬌があってよかった。

 ツアーでは猿のあとに川べりの店で中華を食べた。猿山についたのが17時くらいで、上にいたのもせいぜい30分くらいだったから、ホタルがみられるようになる日没までにどうしても時間があり、夕食のタイミングがここになるのだった。

 マレー人のガイドは「あの店のカシューナッツといっしょに炒めたチキンはマジでうまい」と連呼しており、本当かなぁと戦々恐々としていたのだが、実際においしかった。中華といっても四川料理のノリではなく、日本人が好きな重慶料理のノリだった。炒飯なんか味付けは完全に大衆食堂だった。

 ちなみに海老をまじでそのまま揚げただけの料理がいちばんおいしかったです。

 19時くらいにはクルーズ乗り場についた。まだ日没まで時間があるため、エントランスで30分くらい時間をつぶしてから搭乗となった。ぼくは日本人カップルがアイコスを吸っているとなりでアメスピを吹かして待っていた。

 どうでもいいけどマレーシアの喫煙事情はかなり厳しいため、ポケット灰皿は必須だ。逆にいえばポケット灰皿さえあれば路上では普通に吸っていいともいえるのだが(いちおうクアラルンプールの街で警官に聞いたら「べつに好きにそのへんで吸えよ」と言われた)。

 これは舟に乗ったあとの写真。ここからセランゴール川をかなりの速度で20分も飛ばし、そのあいだにすっかり暗くなった渓流でホタルを観賞するのだ。

 ホタルじたいは撮れなかった。iPhoneのカメラの技術的にも暗闇に光がぽつぽつ見えるだけとなるし、そもそもああいう局面でカメラを構えるのは無粋に思えた。

 この場所のホタルはクリスマスツリーと呼ばれているのだとガイドは言っていた。ここのホタルは飛ばずに、川べりに群生する木々の葉に取りつき、そこでただ光っているからだ。まさしくクリスマスツリーだった。それはぼくの思っているホタル像ではなかったが、ひとつの価値のある光景ではあった。

 ぼくがこどものころ、まるでファフロツキーズ現象のように裏山にあらわれたホタルの群集におどろき、父と姉といっしょに家のなかまで導いていた。ハエをおびきよせるときのように指をまわして、数匹のホタルを招いた。そのうちの一匹はさいごまでぼくの部屋にいて、ある日とつぜん光らなくなった。

 救命信号のように等間隔で光り、いずれ途絶えていったルミネセンス。

 なかなか忘れないものだなと思う。

 なぜか撮った帰りのバス。しかもぶれてる。

 行きよりも帰りのほうが時間がかかった。KLについたのは21時20分くらいだっただろうか。それぞれのホテルの最寄りでおろしてくれたから安心だった。

 目的がひとつ達成できてよかった。